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画像生成AIとクリエイターの現在地〜2025年12月実施【画像生成AIに対する意識調査】結果

2026年4月14日 イベントレポート 本部ニュース

調査の概要 

JILLAでは2022年より画像生成AI技術への対応策を継続的に検討してきた。今回の調査は、著作権・取引慣行・評価のあり方など、クリエイターの立場から見た画像生成AIの実情を把握するため、会員メールマガジンを通じて実施した。(会員には、当会会報誌『Wille』2026年1月号(Vol.24)にて報告済み)

調査期間:2025年12月3日〜12月25日まで
告知方法:会員用メールマガジン
対象職種:9職種
有効回答数:386件
トラブル経験者:82名

意識調査で見えたクリエイターの「期待と懸念」

▍回答者の内訳
性別は、女性218名、男性151名、回答しない17名。職種別では、イラストレーター(169名)が最多を占め、グラフィックデザイナー(83名)、Webデザイナー(56名)、漫画家(53名)が続いた。

▍画像生成AIの急速な普及がクリエイティブ産業にもたらす構造的変化
画像生成AIについては、ツールとしての利便性を認めつつも、著作権・収益・職業的アイデンティティへの深刻な影響を懸念する声は根強く、画像生成AIに対する印象が肯定的であれ、否定的であれ、どちらも同じ懸念を抱いていることが読み取れる。

1.画像生成AIに対する印象 職種・世代で分かれる評価

全体では「非常に否定的」が78名(20.2%)、「やや否定的」が101名(26.2%)で、否定的評価が合計46.4%を占めた。一方、肯定的(非常に+やや)は32.4%、「どちらともいえない」は21.2%だった。

しかし、この数字の背後には職種・世代による鮮明な差異がある。

▍「描くこと」そのものを価値の核とする職種に強い警戒感

漫画家では約76%、イラストレーターでも約59%が否定的回答(非常に+やや)だった。「描くこと」そのものを価値の核とする職種ほど画像生成AIに対して強い警戒感が示されていることがわかる。
一方、Webデザイナーでは約61%、グラフィックデザイナーでも半数以上が肯定的(非常に+やや)な評価を示しており、「設計・調整・説明」といったプロセスを含む職種ほど肯定的に受け止められる傾向が見られる。

▍若年層ほど慎重な姿勢

世代別では、30代の否定的(非常に+やや)割合が約66%と最も高く、50代では肯定的(非常に+やや)が約53%と最も高く、若年層ほど慎重な姿勢、中高年層ほど実利的に評価する傾向が見られた。

2.期待される利点 「労働代替」より「補助」

画像生成AIへの印象の違いにかかわらず、期待される利点の上位は共通していた。性別・職種を問わず「業務の効率化」「アイデア出し」が最多を占め、次いで「資料作成の品質向上」「情報収集の迅速化」が続いた。

この結果は、クリエイターたちが画像生成AIを「労働代替」としてではなく「業務を補助するツール」として位置付けていることを示唆している。

▍重視する点は「職種」によって違いが見られる

職種別に見ると、全体として「業務の効率化」と「アイデア出し」への期待が中心である点は共通しているが、職種ごとに重視する点には違いが見られる。
イラストレーターやWebデザイナー、CGクリエイターでは「業務の効率化」と「アイデア出し」が高く、制作初期の発想支援や作業負担軽減への期待がうかがえる。
グラフィックデザイナーやゲーム・キャラクターデザイナーでは「業務の効率化」が高く、実務プロセスへの直接的な貢献が重視されている。
一方、漫画家やアートディレクターでは期待が分散しており、「人手不足の補完」や「その他」を挙げる割合も相対的に高いなど、職種特性に応じた捉え方が見られる。

総じて、画像生成AI は職種によって役割の想定は異なるものの、業務を補助するツールとして受け止められている。

3.主な懸念点 著作権は全員共通の不安

画像生成AIに対する印象が肯定的であれ、否定的であれ、「著作権の侵害(自動学習・利用に関する法的リスク)」は一貫して最大の懸念事項であった。これは、AIをめぐる法整備が依然として不十分であることへの広範な認識を反映している。

▍否定的な層ほど、クリエイティブ産業全体の構造と持続性に関わる課題として認識

また、AIへの印象が否定的になるにつれて「人間の思考スキルの低下」「若手クリエイターの学習・試行機会の喪失」への懸念が相対的に高まる傾向が確認された。これは、画像生成AIをめぐる問題が単なる技術導入の是非ではなく、クリエイティブ産業全体の構造と持続性に関わる課題として認識されていることを示唆している。


4.実際に発生しているトラブル 82名の体験

職種とトラブルのクロス集計で、「トラブルがあった」と回答した82名について見ると、イラストレーターが最も多く、次いでグラフィックデザイナー、漫画家、Webデザイナーが続いた。

▍ 報告されたトラブルの主な類型
  • 作品・画風の無断学習、個人名を使ったLoRAモデルの無断作成・配布
  • クライアントによる成果物への無断AI加工・アニメーション化
  • 手描き作品がAI生成と誤認され、値引き交渉や原稿ボツの対象に
  • 出版社にてAI判定ツールで誤判定され、月次原稿の受け取り拒否が発生
  • 「AI使用不可」の採用募集にAI生成作品を手描きと偽って応募するケース
  • AI普及を理由とした制作単価の引き下げ圧力・仕事量の減少

画像生成AI に関するトラブル例(自由回答より)

▍ クライアントによる無断使用・加工・持ち込み
  • クライアントが無断でイラストを改変してAI でアニメーションを制作していた。付き合いがあり不問にしたが今後増えてくると思う。
  • 依頼先に申告なくまるっと生成AI を使ったバナーを納品された。修正をする工数がかかった。
  • 勝手に自作品の画像を読み込まれ企画書を送られてきたが、AI により絵が改変していたがクライアントは気付いていなかった。
  • クライアントの指示書にAI 出力のものがあり、デザインの類似など調べ直してから仕事に取り掛からなければならず時間がかかった。
  • クライアントから届く資料に混ざってきている。なんとも複雑な気分になる。
  • 事前の説明なく、画像生成AI によってこちらの制作物を加工され、その画像にこちらの名前でクレジットを入れられそうになったことがあります。
  • クライアントがAI でロゴを生成し「こんな感じなんだけど、AI 感のない、これではないもっとかっこいいロゴ作ってよ」という依頼は、制作しづらいと感じお断りしました。(「これならいつもより楽だよね」と報酬も削ってきました)
  • クライアント側から画面構成の指示としてAI 生成画像がそのまま送られてくることが増えました。
  • クライアントが納品データを画像生成AI にかけてしまったことがありました。
  • クライアントが生成した画像を「こんな感じとか」と提案されてそれに沿った、尚且つそれとはちょっと違うとこでオリジナリティを出して制作をしたのだけど、クライアントからAI と全く同じようにしてほしい、何ならこのままでいいかも、と言われて仕事自体がポシャった。
▍ 著作権・学習・絵柄流用に関する被害・不安
  • 仕事上ではまだないが、自身の作品を無断で学習されLoRA として既に配布されてしまっている。ただでさえ生成AI ではない盗作や無断転載でも非常に困っている為、本当にこの状況は辛い。
  • 自分の絵が読み込まれて自分風のAI イラストを生成されている。
  • 自作に酷似した生成画像を見かけた。現状注意する以外手立てがない。
  • NovelAI というアプリの絵柄指定プロンプトに勝手に自分の名前が使われていた。
  • 私の作品を過学習、ファインチューニングしたAI イラスト出力モデル(LoRA) を無断で作成、配布されました。( 現在削除申請などを行っていますが、問題は解決していません)
  • 表だったトラブルはありませんが、自分の制作イラストがStable Diffusion に勝手に吸われていた…というのは確認しました。
  • 自分の絵柄のLoRA を作られていた。
▍ AI 判定・誤認・風評被害
  • 自分が描いたイラストが、 AI で作成されたと誤解され、納品後に値引き交渉を持ちかけられた。
  • 原稿を出版社に納品した所、AI 判定ツールでAI 使用を疑われ、当月の原稿を受け取り拒否(全ボツ)とされました。
  • 粗めのタッチで描いたイラストは「AI に見える」との事で描き直しがありました。
  • 手描きである証明を求められた。( タイムラプス動画の提出)
  • 制作したイラストにAI のタグ付けをされたことがありました。
  • SNS 上で、画像生成AI の使用を推進する人から非常に攻撃的な言動を投げかけられたことが複数回あります。
▍ 業務負担・コスト増・確認作業の増大
  • 素材探しでピンタレストを使いますが、生成AI を隠して販売してる人がいるため安心して使える素材探しに時間がかかるようになった。
  • 購入した素材がAI 生成したものだった。
  • 生成物と思しき素材が使われており、リスク回避のための手直しのコストがかかった。
  • レンタルフォト会社で写真を選ぶ時に生成AI 画像が含まれていた。
▍ 仕事量減少・市場変化への実感
  • 今の所、仕事でのトラブルは特にないが、仕事が減っている所感はある。
  • 明らかに市場が食われてる。ぱっとみは良いけどあんまりかな、という作品群に。
  • 取引先がAI 導入によりバナー制作の仕事をAI に任せるということで仕事量が減った。
▍ 教育・採用・評価への影響
  • 非常勤講師として働く美大で学生が課題作品として提出してきた。
  • 採用、雇用の場において能力が測れず混乱を生んでいると各方面からききます。
  • AI 使用不可の募集に、AI 作品を手描きと偽って応募してきたケースがあった。
▍ 技術的制約・品質問題
  • エステ関連の案件をやっていて、女性の肌面積が多いと画像生成できないことが多く、困るので規制を緩和してほしい。
  • 写真加工で、削除したい部分を生成したら何度やっても変なイメージになって困ったことはあった。
  • 印刷前に気付けましたが、生成した人物画像の指の数が多かった。
▍ 予防的対応・距離を取る姿勢
  • 炎上リスクが払拭できる目処がつくまで、仕事では使用しないつもりです。
  • 仕事上で使うとトラブルになるので避けている。
  • 生成AI は利用しないでくださいと各社から連絡がきている。
▍ その他・複合的な懸念
  • トラブル、までいかないのですが「生成AI があるから無料で(または安価で)つくれるでしょう?」というクライアントが増えた。
  • クライアントのリテラシーが追いついていない。
  • 否定派・肯定派によるSNS 上の対立・炎上そのものがトラブル。

5.求められる対応 制度整備と透明性確保

会員がJILLAに期待する対応としては、「著作権を守る取り組み」(299件)が最多で、次いで「行政への提言・提案」(248件)、「《生成AI使用マーク》の試験運用」(174件)が続いた。

▍「描くこと」を本業とする職種ほど制度整備を必要としている

職種別に見ると、イラストレーター・漫画家は「著作権保護」と「行政提言」を重視し、グラフィックデザイナー・Webデザイナーは「勉強会」「ツール・プロンプト共有」といった実務的支援を求める傾向があった。「描くこと」を本業とする職種は制度・表示・権利保護を、「設計・統合・調整」を担う職種は知識共有・運用指針を求めるという構図が、期待する支援内容にも表れている。

▍ 社会・制度に求められる対応(調査結果より)

  • 著作権保護および利用ルールの明確化
  • 画像生成AI利用に関する透明性確保(表示・説明の仕組み)
  • 業界横断的なガイドライン整備
  • 行政による実態把握と継続的な検討・対話の場の設置

6.まとめ

本調査は、画像生成AI が一定の利便性を持つ一方で、著作権、人材育成、産業構造への影響といった点で、既に具体的かつ深刻な課題を生じさせていることを示している。

調査結果からは、個人や事業者の自助努力のみでは限界があるという認識が広く共有されており、制度的対応を求める声が強いことが明らかとなった。

クリエイターの権利保護と技術活用の両立を図る観点から、行政による制度整備および関係者を交えた継続的な議論が不可欠である。


7.クリエイターたちの生の声(自由回答より)

自由回答には、数値には表れない切実な声が多数寄せられた。大きく「懸念」「肯定」「現実受容」の三つの潮流が読み取れる。

▍ 著作権・法整備・権利侵害への強い懸念
  • 画像生成AI の利用範囲が不明瞭。
  • 著作権者が自身の作業効率化のためにAI を使用するなどの使い方よりも、画像生成で権利がはっきりしないAI イラストがすでに多く生み出されネットに氾濫していることについて懸念しています。国がもう少し厳格に法整備などをしてほしいと感じます。
  • 画像作成におけるモラルの低下が懸念されます。
  • 生成AI 自体は止められるものではない。素人さんが生成することも多く見分けが付かない物も多い。仕事の場面でどう扱うべきかの指針や、素人さんへの啓蒙が必要だと感じている。「この表記は違反です「これは著作権侵害です」のような明確なアナウンスが必要。
  • 完全に権利のクリアになったものが出てくればいいと思う。
  • 他者の権利(法に触れない範囲も含め)を侵害しない絶対の保証がない限り使うつもりはない。
  • 今の無法地帯を早急に打開するため法整備を速やかに行って欲しい。
  • 生成AI を使用したものには生成AI 使用マークを必ず付ける、無許可での学習は禁止するなど、より法律で厳しく制限をかけて欲しい。
  • 著作権侵害の懸念、思考プロセスの効率化によるクリエイティブ全体の面白みが損なわれる懸念。
  • 学習時点において著作権等の権利を侵害している可能性がある。
▍ 表示義務・AI 使用明記・判別性の必要性
  • 誰でも手軽に作れる事で、オンラインでは低レベルなイラストが蔓延するようになってしまっている。それらを省いて閲覧できるためにも、AI で作られている事が明示してある事が大切だと思う。
  • 生成AI 使用画像は明記すべき。
  • 今は絵を見た時に生成AI のイラスト特有の違和感が感じられるので手描きのイラストとの見分けがつきやすいですが、今後AI の技術が向上しあらゆるタッチのイラストを自然に描くことができるようになった場合、イラストレーターの仕事の一部がAI に奪われてしまうのではないかという心配があります。
  • 技術の進歩で見分けがつかなくなってきていることが一番の問題かと思います。
  • AI で生成したもの、生成していないものの判別がどんな方にもできるような仕組みが必要です。
  • 「生成AI 使用」マークが必ず自動的につくようになれば「生成AI 不使用」マークは不要ですし、無断学習された結果の画像だとしてもそのマークがあるわけなので問題はないかと。わからないように端っこにマークがつくのではなく、ウォーターマークとして出す必要があると感じています。
▍ 仕事喪失・単価低下・若手への影響
  • ベテランにとっては自身のアシスタントにもなり得るので効率化に期待ができる反面、学生や駆け出しのクリエイターにとっては、生き残りが大変になっていくかもしれないと心配します。
  • 今後誰でも使えるようになる事で、イラストレーター、カメラマン、コピーライター、デザイナー等専門職が衰退していく気がします。
  • AI にイラスト作成の仕事を取られてしまうかもと心配になる。
  • 便利ではあるけれど、若手の下積み仕事がなくなる可能性、審美眼の劣化、仕事の楽しみの減少を懸念しています。
  • 似たような画像がたくさん出てくる。また、デザインの単価の低価格化。
▍ モラル・悪用・社会的影響への不安
  • 画像生成AI は止められるものではないが、悪用も容易になることや著作物の無断利用について現状のままではディープフェイクなどの情報負担や、クリエイターの成果物の搾取に等しいと感じる部分が多い。
  • 仕事で使う人だけではなく、子供やYoutuber などのモラル。学校などでも議題にすべきではないか。
  • 生物や歴史的資料等について生成AI によるデタラメな画像が氾濫するようになり、検索汚染・現実との区別が不可能に近くなることへの対策の必要性。
  • 唾棄すべき邪悪。基盤データセット問題が解決し、クリーンな状態になってから活用法を考えたい。
▍ 補助ツールとしての肯定的評価(ラフ・時短・効率化)
  • 途中の作業で使うには良いが、アイデアや大まかなラフまでで最終的な納品物に残すのは難しい。
  • サポート的に使用している。メインではなく背景画として使用した時は時短になり便利だと思った。
  • 私の場合は一部パーツの色変えや修正などに利用しているため、今まで手間のかかっていた工程が省けたことで非常にスピードアップ、メリットを感じています。
  • 構図のアイデアやラフの作成に役立てたい。
  • 資料の作成等に役立っている一方で倫理観のない人が世間や人に迷惑をかけている印象です。
  • 背景を伸ばしたり不要なものを消すなどの、「人の手でもできるが、AI に任せた方が早い」作業に関しては肯定的で、積極的に取り入れていきたいです。
▍ 共存・不可逆性を前提とした現実的意見
  • もう出た以上は仕方がないと思っています。
  • すでに生まれてしまった技術なので共存していくしかないと思っている。(仕方ないかな…と)
  • 生成AI の利用の流れは止まらないと考えます。ですので、その前提で上手に利用する方法を模索したいです。
  • 良い面と悪い面と両方あり、諸刃の剣のように感じているが、時代の流れは間違いなくあると思う。

プレスリリース(4月14日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000169722.html